手付かずの自然が残る広大なワイン産地
フランス最南部、東は数々のローマ時代の遺産が残るニームから西はスペイン国境に接するペルピニャンまで広がる広大なワイン産地です。
ワイン産地的にはニームの西側からナルボンヌの南、コルビエールまでをラングドック地方と呼び、その南側ペルピニャンを中心にスペイン国境まで広がる産地がルーションになります。この2つの産地で作られるものがラングドック・ルーションの地方のワインとなります。
ラングドック・ルーション地方は5つの県(ロゼール、ガール、エロー、オード、ピレネー・オリエンタル)からなる広大な産地で、総面積で日本の近畿地方とほぼ同じ大きさです。
広大な土地には手付かずの自然が広がりマルセイユからペルピニャンにかけて大きく湾曲したリオン湾(Golfe du Lion)と呼ばれる地中海があり、セヴェンヌの山脈や黒山と呼ばれるモンターニュ・ノワール、スペインまで連なるピレネー山脈など印象的な岩山の広大な景観が広がります。
量から質への大変革がもたらした現状
自然溢れるこの土地はワイン産地としては古い歴史を持っていますが、20年前まではその広大な産地から膨大な量のワインを作っていて各ワイン産地に原料として供給したり、安価なテーブルワインを大量に作っていました。
その歴史は広大な土地を縫うように大西洋から地中海をつなぐ航路として作られたミディ運河(Canal du Midi)が作られた事で発展しました。
ミディ運河は15年の歳月をかけて全長240Kmに及びトゥールーズから地中海のセートまでを結んだ物資輸送ルートとして完成しました。これによりこの地方のワイン産業が飛躍的に伸びました。19世紀には鉄道が開通したことで運搬航路としての役割を終え、今では運河クルーズで人気の観光地となっています。このミディ運河は1996年に世界遺産に登録されています。
安酒の生産地として認識されてきたこの地方で量から質への変化が起こりました。1970年代から心ある生産者達がこの可能性に満ちた生産地で地道に努力を重ねた結果今の高品質なワイン達が作られるようになりました。
もともとワイン産地としてはポテンシャルの高さを持ち、広大で様々な気候風土や土壌を抱える産地だけに、生産者の努力はすぐに形になって現れてきました。今では昔のイメージを持つ人も少なくなってきましたが、1970年当時はいくら高品質なワインを作っても見向きもされなかったとパイオニアの生産者は語っています。
可能性に満ちた産地
ボルドーやブルゴーニュの確立された産地と違い、可能性に満ち、自由でラフなスタイルを感じるこの産地のワインですが、近年の高品質なワインが市場で認められてきたことによる生産者達に意識が、より前向きに向上するための努力が日々行われている印象です。近年その土地のポテンシャルを感じ他の産地から移り住みワイン作りを始める生産者も増えています。
この産地のナチュラルなテイストを色濃く反映したワインの味わいはワインとしての質の高さもありますが、楽しさ、自然、人生を楽しもうというようなメッセージが聞こえてくるように感じます。
まだまだ隠れた銘壌ワインが沢山眠るこの産地は可能性に満ちた産地と言えます。



















