フランス語で言うヴィニロン・ド・キャラクテール(個性的な生産者)。ボリー・ド・モーレルのミッシェル・エスカンドはまさに個性的で唯一無二の独自性が溢れ出ている生産者の一人です。
モンペリエから西南へ150キロ、フェリーヌ・ミネルヴォワ村で1989年からワイン造りを始めました。
ラングドックでも広大なアペラシオンであるミネルヴォワ。
このミネルヴォワの北西の一部、モンターニュ・ノワールにかかる一帯は、他のミネルヴォワと特徴が異なることからリヴィニエール村を中心に6つの村がミネルヴォワ・ラ・リヴィニエールとしてAOC登録されました。
特にラ・リヴィニエールはミネルヴォワの中でも標高が高く、その土地柄がワインに独自性を与え、リヴィニエールの特徴を形作っています。なおかつ、フェリーヌ・ミネルヴォワ村はリヴィニエールのアペラシオンの中でも最も北に位置する寒冷な産地です。
その個性的な産地に個性的な生産者。
ボリー・ド・モーレルのワインは他にない独自性とキャラクターに富んだ味わいです。当主ミッシェル・エスカンドと彼の2人の息子達、ガブリエルとマキシムがファミリーでワイン造りを行っています。
ボリー・ド・モーレルの畑はフェリーヌを中心に全部で34ha。様々な区画が点在しています。中でもブラマの山にある標高400mを超える場所にある畑は、蔵の中でも最も重要視している畑です。畑からはナルボンヌの町越しに地中海が広がり、東に目をやると遠くピレネー山脈が見えます。まさに山の頂上にあると言った感じです。
この急斜面の畑に植えられたシラーやグルナッシュの葡萄。作業するのも一苦労です。フェリーヌの彼の蔵からブラマの山の畑までは四駆で15分くらい登ります。選定や収穫の時期にはこの畑の山の上に作業小屋を建てて寝泊まりします。
あまりに急斜面のため機械が入らず、今でも馬で耕作しています。馬で耕やすことによって、畑も踏み固められることがなく柔らかい土を維持できています。
畑は一部シスト・ノワール(黒いシスト)が混じるカリケール(石灰)の土壌。ボリー・ド・モーレルのワインの特徴は何といってもこの高標高がもたらす酸味がきれいにのっていることです。すべてのワインに共通しているのですが、年間を通じて低い気温と山の湿った空気が醸し出す水々しさとシャープな酸味が見られます。
ミッシェル・エスカンドも「この地形じゃないと自分のワインは造れない」と言います。それほど特別な土地です。
ミッシェル・エスカンドは触れれば触れるほど魅力ある生産者です。特別なオーラを放ち、何か野生の嗅覚のようなものを持っているように見えます。
土地や気候、自然のサイクルや摂理を理解した上でワイン造りを行っているのではないでしょうか。実際に、勉強熱心で土地の歴史や地質学や天文学なども習得しています。一緒に食事をするときなどその博学さに驚かされます。
私感ですが年々個性的になり、オリジナリティーが確立してくるように思えます。そして、その個性は二人の息子達に確実に引き継がれています。個性的な生産者は数多くいますがミッシェル・エスカンドは群を抜いています。

















